試奏レポート “YAMAHA BB P34/BB734A/BB434”

日本を代表する世界的楽器ブランド、ヤマハ。そのベースのフラッグシップといえるのがBBシリーズ。BB2000などが開発されたのが70年代後半。そして80年代後半によりJBライクでヴィンテージを意識したモデルチェンジを敢行。2000年代に入ってからは、従来からのBBらしさに再度注目しつつ現代的にアジャストされたBBシリーズが発売されました。

 

そして今年、新BBがベーマガに掲載されててビックリしたんですよ。もう新しいの出すのか!って。今までのシリーズよりちょっと早くないすかね?以前の最高級機種であるBB2024などは定価で30万オーバーだったし、なかなかセールス的には難しかったのかもしれませんね。

 

ということで、新しいBBはどうなんだろうなぁって思ってたんです。今回のラインナップの中で先行発売された海外生産のBB434は1ヶ月ほど前に試奏したことがあり、その時の印象が結構良かったので、一番高い国産バージョンが発売されたときに比較してみたいなと思っていたのです。そしてちょうどこの週末に入荷したての最上位機種に出会うことができましたので、早速試奏をしてみました。

 

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左から、BB734A/BB P34/BB434です。

 

今回は在庫にバリエーションがありましたので、3機種弾き比べてます。音の印象はそれぞれに個体差はあると思いますが、早速レポートを。

 

まずは、今回一番弾いてみたかったBB P34。

定価は21万5千円。楽器屋さんの実勢価格では19万ぐらいです。以前比べてだいぶ安くなりました。原価を見直して構造を変えてきたことが大きな要因ですかね。とりあえずいっぱい写真を撮ってきましたので、詳細をみてみましょう。

 

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今回のシリーズはほぼこのヘッドの意匠で統一されています。一見、グレードが判別できませんが、一番安い機種はヘッド上部のヤマハロゴ(音叉の)が印刷ですね。それ以外はエンボスした金属(?)が埋め込まれています。またこの最高位機種のみ、ストリングガイドが1弦〜3弦をカバーしてます(他は1,2弦のみ)。あと本機種のみ金属パーツがつや消し(サテンニッケル)になっており、高級感が増してます。

 

 

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見た目、好きです。コントロールは従来のBBによく採用されていたピックアップセレクターではなく、2vo、1t。使いやすいです。

まずは従来から大きく変わったブリッジから。

 

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見ての通り、裏通しも可能なタイプで、しかもその通し方はこんな感じ。

 

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ボディから直角に弦を落とす従来型ではなく、斜めに留めるようになってますね。そのためボディバックは斜めにカットされてます。ここは弦鳴りやテンション感に大きく影響する部分だと思います。実際に弾いてみますと、特に大きな違和感はありません。テンション感もキツい感じはしませんでしたね。

 

そして音を支えるピックアップも本シリーズでは新開発してます。

 

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一見、すべての機種に同じマイクが載っているように見えますが、P34と734/735はハイグレードアルニコ垢箸いΔ海箸悩絞眠修気譴討い泙后BBのアイデンティティとして、お約束のPJレイアウト。エスカッションとかもないので、BBっぽさは薄れてますが、シンプルでプレーンな見た目は個人的には好印象です。

 

で、ネック周り。一番の目玉はここですかね。

 

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本シリーズでは以前のBBの代名詞とも言えるスルーネック構造は採用されていません。一般的な4点留めに合わせて、ネックエンドを斜め45度から固定する2点のボルトが付加されてます(一番安い234とかは通常の4点)。マイター・ボルティング方式と呼ぶそうです。これにより擬似的なスルーネック状態を作ろうという意図なんでしょうね。似たような構造は過去のアティテュードやCITRONなどでもありましたが、その効能はどこまであるのか?実際にこの斜めのボルトを緩めるかとかしないとわかりませんが、弾いた感じ充分なサスティンはありました。あと何よりもこの構造の採用に原価が抑えられているのが思います。買い手にとってはここが一番ありがたいことなのかも(笑)。

 

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指板周り。ローズですね。なんか見た目の印象ですが、BBっぽいローズでした(笑)。BB2000あたりで見慣れた感じの。質感はいいですね。安っぽくはありません。張り方はスラブで厚め。ポジションマークはこの機種と734/735のみバータイプのインレイが入ってます(後はドット)。

 

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あとね、P34/35のヘッド裏には、誇らしげな“日本製”の文字が。食料品と工業製品は日本製が一番安心です(笑)。コストがかかっても作りが良いと信じられる証拠、みたいなもんすかね。

 

んで、試奏した印象ですが、個人的はとても良いと思いました。値段から考えても全然お買い得かも。まず4弦の締りもよく密度も圧もある音でした。重心も低くロー感充分。ボディが潰しのカラーなのでわかりにくいのですが、アルダー+メイプル+アルダーのラミネート3プライ構造なんですね。この辺が音や鳴りに大きな影響を与えていると思います。膨らみ過ぎず音に締まりがある。鳴り自体はまだ固い印象。やはり単板や単一素材の音とはちょっと違うような気がします。

4弦をサムピングした音とか、本当にビシって決まる。程よいメタリック感もあるし、音程感もある。1,2弦のプルは、PJっぽさはあるものの、嫌味な感じのミドルは薄くて、比較的すっきりしてるのではないですかね。ここは好き嫌いかと。PJマイクはフロント、リアとも単体で使っても充分圧があります。またフルテンもJB的な美味しさもある。ただパーシャル領域でF/Rミックスしても、その微妙な音の厚みの変わり具合などは体感しづらかったです。この辺はもっと大きな音量で試したらまた別の印象になるかもしれませんが。

あとね、不思議なんだけど、やっぱりヤマハの音がするんですよね(笑)。BBを弾いていると自分で思っているからそう感じるのかもしれませんが、ヤマハの持つDNAは受け継がれているように感じました。私は好きだな。

 

ここまでで随分長くなってしまったので、あと2機種はポイントだけご紹介。

 

BB734A

アクティブ回路搭載機種。この回路は非常に良かった。私はアクティブ回路であってもパッシブトーンは欲しい方なのですが、この回路に関しては必要がない。アクティブのハイをカットすれば、パッシブトーン的に効いてくれる。それからパッシブの音を基音にアクティブで音を作るタイプの楽器だと思います。なので、当然パッシブ時の音がいい。これ、アクティブでありながら、その使用を前提としてない気がします。さすが。

 

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価格が4弦で10万5千円。実勢で9万程度。インドネシア産だとやはり安いね。しかしパーツなどは比較的P34と近い。私がもし購入をするなら、この機種を選択するかもな。一番コスパが良いような気がします。

あとね、ネック裏などがサテンのブラック系で覆われてます。この機種のみそういうフィニシュになってます。あとハードウェアもブラックニッケルですね。

 

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BB434

こちらもインドネシア産のBBです。ただこちらはアルダーボディ。ラミネートはありません。そのお陰なのか、私の試奏した個体のせいか…、とても鳴りが良く、弾いていて反応が楽しかったのはこの機種でした。P34に比べると音的には若干腰高な印象はあります。ずっしりとしたローはない。とは言え、普通のこの価格帯の楽器よりは全然いいですよ。実勢価格で5,6万ですからね。ほんとに企業努力が伺えます。あと、安くても構造的にはきちんとフラッグシップと同じです。

 

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ちなみにハードウェアは普通のクロームです。

 

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YAHAMAのベースにはfenderにはない味わいがありますね。それが好きかどうかで評価は変るかもしれませんが、造りは本当に丁寧だし、研究を怠っていないメーカーだと思います。これからもこういう楽器を出しつづけてほしいですね。総合評価として、このシリーズは良いと思います。プロもエントリ層も手が出しやすいし、音的にも満足感があると思いますよ。ご興味があれば、ぜひ試奏してみてください。

 

P.S

前のBBは、個人的に値段の割に感動がなくて、あまり好きではありませんでしたが、このシリーズは好きです。

いつもいろいろな試奏をさせてくださって感謝してます!福田さん!

 

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試奏レポート “ALIEN AUDIO L5-PJ34-TFG-”

未知のブランドの試奏レポートを書くのはいつ以来でしょうか(笑)?久しく書きたいと思うブランドもなく、どちらかというとヴィンテージや既知のハイエンド系に偏った感じで試奏などをしてきましたが、先日、これはいいかも!と思えるベースに出会いまいましたので、ご報告方がた、所感などを上げておこうかと。

 

まずは、このブランド、ご存知ですか?

 

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ALIEN AUDIO(エイリアンオーディオ、でいいのかな?)。私は初めて聞く&触るブランドでした。どうやらナッシュビルで生産しているメーカーで、正式にスリークエリートが代理店に決まっての日本初上陸らしい。んで、こちらがその最初の1本目、とのこと。

 

ふらっと寄った渋谷のクロサワに置いてありましてね。この色とそして見たことのないブランド名とルックスに興味をもちまして、早速試奏家魂に火がついてしまったわけです(笑)。

 

 

観ての通り、シングルカットのPJスタイル。しかもPUはノードストランドのPスタイルとJスタイルのビッグシングル。

 

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音の総括は一番最後に書きますので、まずは忘れないうちに、軽くスペックのおさらいを(笑)。ボディがスワンプアッシュでネックがアッシュ+メイプル+アッシュの3ピース。回路はオリジナルでブリッジが2TEK。これだけでもかなり個性的な感じがしますよね。

 

まずはそれを持った時のバランス。アッシュネックということでネックヘヴィーになりそうな感じもしましたが、全然そんなこともこともなく、軽めのスワンプアッシュと相性もいい。ネック材の杢目を見るに結構いい気を使っているように思います。シングルカットの弾きにくさも個人的には感じませんでした。ホールド感も悪くない。

 

さらに特徴的とも言えるのが、そのネックシェイプ。

 

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写真では分かりにくいかも知れませんが、非対称になってます。5弦側が薄く、1弦側が厚いアンシンメトリー。割と逆のシェイプを持つ楽器はありますが、これは珍しい。まず弾いてみると、やっぱりそういう楽器に触れたことがないので正直違和感はある。だけど弾きすすむと、意外と合理的な気もしてくる。人それぞれの親指を置くポジションにも因るとは思いますが、構えたときにネックの低音部が薄いことでネック全体に指を回しやすい。また高音弦を弾く時はしっかりとした厚みがあるので、ポジションをホールドするのがラクです。慣れれば、良いシェイプなのかも。

 

そして珍しいのは、そのコントロール。

 

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大きいノブが上から、トーン、バランサー、ヴォリューム。まぁ、普通と逆よね。あと小さいノブが、上からトレブル/ミッド/ベース。ここはノーマル。このプリアンプの特徴はこれだけじゃなくて、ヴォリュームをプルするとオーバードライブがかかる(笑)。あとトーンを引っ張るとヴィンテージとハイファイという2種類の異なるサウンドが出る。こういう回路って割とキワモノが多くて、実は使えない…なんてことも多いのですが、このオーバードライブはちょっとよかったかな。激しく歪むというよりは、音の厚みを出すドライブというイメージ。サンズなんかの考え方には近いのかも。普通のラインを弾きながら、少し押し出しを強くしたいときとかにも使える感じ。大人なドライブですね。ヴィンテージとハイファイは、試奏した環境では、実はあまり判然としませんでした。弦も死んでたし。故にそこは言及せず。

 

もう一個特徴的なパーツ、ブリッジ。

 

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各弦ごとに支持するタイプで、ボディは貫通しております。この手のブリッジをなかなか採用しているところは近年ありませんよね。個人的には印象イイです。ちゃんと弦振動をボディに余すことなく伝えている感じがするのと、適度なヌケというか、暴れ感を演出する上で機能しているような気がします。科学的根拠ではなく、あくまで弾いた印象ですけどね(笑)。

 

んでもって、ヘッドやボリュートは割と厚め。

 

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少し、LAKLANDっぽい感じ。これはこれで私は好きです。きっちり弦鳴りをサポートして、さらには剛性的にも優れている。

 

んでね、気になるのは実際の音はどうなのよ?と。

私は、この楽器をスリークエリートの広瀬さんが入れた理由がなんとなく分かるなぁ(笑)。感想からいうと好きです。見た目のキワモノっぽい感じとは裏腹に、ベースとしてかなり実直な音がします。いわゆる派手なドンシャリサウンドや巷のハイエンドとは違う方向。オーセンティックでありながら、しかもオリジナリティがある。音的には近いポジョンニング/マーケットにあるのが、コッポロなんじゃないかな。あそこの不安定な供給状態を解決する一策になるのではないかと。演奏感も構造も良く考えられているし、鳴りも悪くない。個人的には合格ですね(笑)。

PJレイアウトも基本的にはキライですが、これに関しては指弾きをする限りでは気になりませんでした。ミドルの落ち着いた使いやすい音がしましたよ。ppやJJはどんな音がするのか気になります。

 

しかもね、価格で言うと、

 

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非常に戦略的。コッポロが今みたいな尋常じゃない値段になる前に流通していた価格と近いのではないかしら?

 

まだこれ1本しか弾いてないし、個体差があるのかないのか?とか、JJレイアウトも、PP(リアのPはリバースしてる)も、ダブルカッタウェイのシェイプもあるようですし、それらはどうなのか?と気になるところ。まぁ、とりあえず、いろんな個体を弾いた上でじゃないとブランドとしての評価はできませんが、これからの供給が楽しみであることは間違いありません。

 

ヘッドのデザインも私としては好きです。ただ保守派の私からすると、ボディ形状は普通のJBやPBに倣ってもいいかな(笑)。とにかく定期的に新品が入ってくるようなら、今後も注視していこうと思います。

 

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試奏レポート “Fender JAZZBASS 1963 Fretless mod.”

きっとね、ジャズやフュージョンが好きなベーシストはね、絶対に一度は触ってみたい、そんなベースだと思うんですよ、これ。





いま、バーチーズさんで販売している63年JBのフレットレスです!
このモディファイを行なおうとすることは、今の時代にはあって、ほぼ犯罪に近い(笑)。普通は止められるしね(笑)。しかし、この楽器に関しては、この方法が一番正しかったように思います。

実は、こうなる前の入荷したての頃、このベースを試奏させてもらってましてね。そのときはもちろんフレットありの状態で、そこそこバランスを崩していたように思います。基本的な音はヴィンテージのソレではあるのですが、フレットの状態があまりよくなく、確か3弦B♭や2弦B♭あたりのハイポジションでのビリツキがキツかったように記憶してます。摺合せでも難しそうな印象。もし本当に気に入って使うなら、私なら打ち替えが前提…という感じ。そこで「フレットレスにしたらいーんじゃないか?」そんな話がでたように思います。まぁ、この見た目ですからね、欲しい人には自分で背徳感を背負いこむことなく使える訳で(笑)。

まずは基本的なスペックから申し上げますと、ネックは62年12月ですがポットは63年だそうです。コンデンサもワイヤーもオリジナルですね。見慣れた佇まいです。



指板はラウンド張り。詳しくはこちらに譲りますが、フレット/ナット以外はオリジナルです。まぁ、年季は入ってますが音はもちろん現役感あります。モディファイの詳細の様子はバーチーズのFBにありますので、ご確認ください。

そして肝心の音です。これはね、やっぱりfenderの音がするし、ヴィンテージの音はしますよね。当たり前か(笑)。音を言葉にするのは非常に難しいのですが、私がいいなぁと感じたのは、低音の締まり。十分なロー、ローミッドを持ちつつも、それらが不必要に広がることなく、輪郭がある。スッキリしているとでも申しましょうか。巷のJACOモデルなどを弾くとハイはあるけど、ローが抜けてしまっており、上辺だけの音、見た目になってしまっていることが多いですが、これに関してはそんなことはもちろんありません。またJACOのJBはスラブでしたが、こちらに関してはラウンドの減りも考慮して今回はエポキシも盛った(というか削った)ようで、音に適度な落ち着きも感じます。

入力に対する反応もいいですね。今まで5本ほど安物ベースをモディファイしてきた経験では、フレットレス化を施してから、しばらくすると鳴り方に結構な変化を感じることがありました。だんだんと落ち着いて音色やサスティン、反応に変化が出てくるのですが、多分、これに関しては最初からある程度完成されてますね。まぁ、安物のベースと比べるのも、どうかとは思いますが…(笑)。
ハイポジションでのサスティンも気持ちいいし、ビブラートもかけやすい。多分録音してもその音は間違いないんじゃないかなぁ。そうそう、その音だよね!と言われると思いますよ。ピックアップもへたってなくて、ハイもあります。トーンコントロールで随分サウンドメイキングの幅はあるように思います。



フレットレス化の精度に関しては、文句なしです。まぁ、いつも家のやつもやってもらっている斉藤君の手によるものなので、私としては全く違和感なし。弾きやすいです。



ちなみにモデファイ前の指板はこんな感じ。



良い色の指板ですよね。好き(笑)。

重量は4埃紊阿蕕ぁウェイトバランスも許容範囲内。まぁ、この見た目でフレットレスですから、かなり周囲からの目は惹くと思いますし、JACOフォロワーじゃないと使いづらいかも知れませんね。私だったら、ピックガードは付けてしまうと思います。周囲に期待を持たせないためにも(笑)。

なかなかホンモノのヴィンテージでフレットレスを実現している楽器はないので、これを弾くことは本当に得難い経験とも言えると思います。もし欲しい人がいたら、早い方がいいかもしれないですね。こういうの、ホント、ありそうでなかなかありませんから。

最後にその音源が分かる動画がありましたので、無断で転載してしまいます。問題があれば、落としますので(笑)。>織原さん



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