前回のエントリを受けて。

前回のエントリで、投じた一石がいろんな方に波紋を呼んで、私を含む皆が自分と楽器の距離を見直すいい機会になったように思いました。良いテーマをいただきましたこと、この場にて感謝申し上げます。

寄せていただいたコメントに対して、私とやりとりをしてくださったプロの方へ、何か声を返してもらえますか?とお願いしましたところ、再度お返事をいただきました。
私信としてのやりとりを、このようにブログに公表してしまうことにより、誤解などが生まれる可能性がないとは言えないのですが、サイトへのアップを私の判断に任せるとおっしゃっていただいたことに対して、心より御礼を申し上げます。とても良いお話だと思いましたので、転載させていただきます。

このテーマに関しては、いったん終わりにしますね。たまに真面目なエントリもいいですが、あまりカタくなりすぎるのも何なんで(笑)。

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読ませていただいた皆さんの投稿の一つである方がマレーシアでのフェンダージャズベースのお話を書いていたのにはぐっと来ました。自身にもそれに似た多くの体験があります。


仲良くなったキャンディ・ダルファーのバックバンドのベーシストがフェンダーメキシコのジャズベを弾いていて「これだけを10年使ってる」と。それをはじめとしたミュージシャンと楽器を巡るたくさんの逸話に触れたことは、自分の考え方を育てるいいきっかけになりました。

また、自身の体験としては、こんなものがあります。

タイのジャズフェスティバル出演時、「タイの渋谷」と紹介された栄えた街の一角の楽器屋でベースはミュージックマン、フェンダー、そのレプリカと3ブランドしか置かれていなかった。そして現地の物価は日本の3分の1程度にもかかわらず、それらの楽器は日本とほぼ同額で取引されていました。

また、CDショップに行けば日本ならば幻の名盤といわれるものでも何でも手に入りますが、現地にはヒットチャートにあるものばかりしか陳列されておらず、それらも一様に日本と同額なのです。つまり平和産業である音楽の価値が日本から見れば不当に高い途上国だといえるでしょう。

そのような環境の中、ジャズフェスティバルの観客は1フレーズごとに一喜一憂するような集中力で僕らを迎えてくれ、そして楽しんでくれました。楽しもうとすることに積極的で、音楽を通して客とコミュニケートし合うすごくいいエネルギーに直面し、ひたすら感動しました。それらは日本では得られないたぐいのものだったからです。

その夜、僕らは恵まれた先進国の人間として、彼らが持つようなハートは失わず、どんどんと新しいものを発信していかなければいけない、、という責任を感じてしまい眠れませんでした。

(中略)

僕はプロを自認するのもはばかられるほどの下手くそだし
努力家でもありません。その割に生意気が言えるほど、自身の在り方を見つめてきたし、それに見合うプロ意識は強く持っています。そこをこれからも大事にして、良い音楽とそれが生まれる環境作りに邁進して生きたいと思っております。

プロが考える楽器の存在意義。

先日、私が例によってRSSでブログ散歩をしておりましたところ、とあるプロベーシストのブログを発見しました。プロの使用楽器や機材など関連エントリがあるかなぁとジックリ拝見しておりますと、比較的同じような楽器の嗜好をお持ちのようで、つい勢い余ってそのブログにカキコさせていただきました。それがご縁で2,3度ほどメッセのやりとりをさせていただいたのですが、その文面の中で、楽器や音楽に対して真剣に取り組んでいる姿勢がくみ取れる素敵な言葉がありました。ぜひ皆さんにご紹介したかったので、ご本人の了解をいただきました上で、一部抜粋ですが、転載させていただきます。

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(この前段部分は、その方がお買いになったPBに私が興味を持って質問をしていた部分の回答があり、その後、以下の文章に続きます。)

シンメイさんはたくさん素晴らしい楽器群をお持ちですね
それだけの宝があるのですからそれらをこれからも奏でて
いただきたいです。

先日、シンメイさんのブログ上で過去のベースマガジンを見て
現代のプロミュージシャンを案じている記事が胸に刺さりました。
特に僕は記事を今まで頻繁に書いていますが、メジャーのバンド
を辞めた今後、オファーがどれだけあるかわからない時期
ということもあります。

生活の傍ら、音楽、楽器を愛している方々のようなまっすぐな
愛情を注げないかもしれませんが、こと音楽に関しては日々
向き合っていられるだけ本当に愛し続けていますし、僕
自身はシーンをになう(末端ではありますが)責任
も感じて日々ベースを弾いております。

僕らにとっては音楽が生きる術であり、楽器がそのために
かかせない大切な道具であることを考えると、素晴らしい
楽器郡がコレクターの方達の手に渡り、放置されているの
などは見るに耐えません。今世界的に木材、金属の価値も
上がっていることから余計にそう感じている昨今です。

シンメイさんはブログを見る限りコレクターではなく
楽器を本当に愛している方なのだと伝わりました。
あの素晴らしい楽器たちが、果ては後世に残る
くらい愛し続けていただきたいなと思っています。


暑苦しく、ぶしつけな内容ですみません・・・


楽器は宝ですが、それ以上に音楽作り上げてこそ
存在意義が生まれるのが楽器であるという、僕のような
立ち位置の人間の意見をきいていただきたくて書きました。

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楽器を良い意味で道具と捉え、愛情を注ぎつつ実用する方(プロ)の意見として、非常に重みがあると同時に、耳の痛い部分でもありました。私自身はコレクターじゃないとハッキリ言い切れる自信はあるのですが、浮気性な部分も否定できず、身に余る楽器を所有している感はあります・・・。自省の念を込めて、今ある楽器を大切にすると同時に解放することも考えないといけませんね。楽器が幸せになることは、イチ弾き手としての喜びでもあります。

昔のベーマガを読みて、物想ふ。

先日、ヤフオクで昔のベースマガジン10冊セットという出品を落札し、2000年〜2001年ごろの記事をいくつか拾い読みしてみました。基本的には何度も同じような特集をしているので、「やはりネタは尽きるよなぁ」などと思いつつも、ついビンテージやJB・PB、Stingray、リッケンなどの特集があると「何度でも買ってしまうのが楽器好きの人情よのぅ」などと思ったりもします(笑)。

しかし、読んでいて本当に感慨深く思ったのは、プロのベーシストとして紹介されている人の多さ。これまでのベースマガジンで、いったい何人のベーシストがインタビューや特集、ライナーノーツなどで取りあげられてきたことでしょう?押しも押されもせぬ一流と言われる人から新人まで、きっと数えたらすごい数になるんでしょうね。そのごく一部の人が第一線としてシーンに残り、さらに新しい人が登場する。常に新陳代謝が行われる厳しい世界。この2000年頃に雑誌で紹介されたプロの方がいったい何人、現在もプロで活躍しているのでしょうかね?今もなおバリバリな人、今は裏方に回ってレコードメーカーなどにいる人、まったく違う業界に行ってしまった人、楽器自体をすでに触らなくなってしまった人、食えるかどうかギリギリでまだ頑張っている人・・・。色々なんでしょうね。

以前、ヤフオクで気になるベースがあり、比較的家も近いようだったので出品者の方に楽器を持ってきていただき、うちで試奏をしたことがありました。その方はプロだったようで、お持ちの楽器も良いモノでした。そのときに何故この楽器を売るのかを伺ったところ、一緒にお連れになっていたお子さんが小学校に上がるためのお金が必要だからとのことでした。もちろんプロですので、技術はお持ちでしょうし、レコーディングやライブ、レッスンなどの仕事もしているのでしょうが、その不安定さを考えるとやはり厳しい世界なのだな、と心から思いました。屈託のないその子の笑顔を今でもよく覚えています。

昔のベーマガで見つけた知らないベーシストの名前を読みながら、この人はいまでもプロで頑張っていけてるのか?などと、余計なお世話とは思いますが、想いを馳せたりしておりました。トシでしょうか(笑)。