試奏レポート“Fender JazzBass 59年 ProtoType”その1

いやぁ、日々バタバタしている、なんて言い訳もできないぐらい、「これはエントリにしなければ!」という使命感を感じる楽器に出会いました!昨日、久しぶりの日曜休みで、昼食後ゴロゴロしていようかな、なんて思いつつTwitterを覗いてみたところ、BC千葉氏のつぶやきを見て、衝撃が走りましたよ!

“長い間この仕事をしていると、こういう楽器に出会う事もあるんですね。フェンダー・ジャズベースのプロトタイプとして製作された楽器で、59年製。真贋はともかく、昔見たKlaus Blasquiz著の本の楽器そのものでした。”(BCのTwitter より)

このコメントとともに、紹介されていたのが、こちらの楽器。ヴィンテージファンの皆様、お待たせしました!


このベースがなければ、生まれてこなかったであろう音楽が数多くある、といっても過言ではない名器“FenderJazzBass”、そのプロトタイプです。一説によると2、3本ほどしか製作されなかったのではないか?とのことですし、現存する本数も不明。このプロトタイプは、過去出版されていたリットーミュージック刊のフェンダーベース・ヒストリーにも掲載されております(下の写真参照)。歴史的な資料としてしか認識していなかったので、現存していると知ってビックリです!
そう考えると居ても立ってもいられません!!午後のお昼寝は即キャンセルして、店に猛ダッシュして試奏してきましたよ(笑)。


さて、それは詳細検分と参りましょうか!
まず特徴的なのは、見てのとおり、ピックアップ。

フロントはポールピースの間に弦を通すスタイル。この時期にはすでに発表されているOPB以降のPBにおいて、この発想は具現化されていますが、ワンポールピースによる試行もしていたようですね。あと、フェンダーベース・ヒストリーにも記載されてましたが、先行で発売になっているJazzMasterからの開発の流れを汲んでいるともいえると思います。

そしてリアマイクがこちら。

こちらは弦の真上にポールピースがくるタイプ。OPBと発想は一緒ですね。

フロント、リアともに製品化された時と大きく違うのは、そのピックアップ面積。見ての通り、一般的なJBの2.5倍ぐらいの幅がありそう。内部をバラして確認したわけではないので正確なところはわかりませんが、ボビン部もそれなりに面積があり、コイルのターン数も多いのではないかと思います。つまりは高出力でパワフルなマイク。ポールピース一つの小さな磁界から発する電力をここで増幅する設計だったのはないかな。
実際の出音は、ピックアップ自体が比較的弦から離れた状態でセットアップされていたにも関わらず、意外にもファットで、音圧もあります。

ブリッジはすでにPBに採用されていたスパイラルですね。ピックアップから伸びているアースが、市販品と比べ太いです。

意外なのはコントロール。プロトタイプは最初から、2v1tなんですよね。60年の商品化の際には、2v2tのスタックでしたが、試作段階では62年以降のマイナーチェンジと同様のコントロールだったわけです。回路的には、62年以降と大きく変わるものではないと思いますが、試作段階では、ついているコンデンサも違うのですね。

んで、お腹の中も一応、見せていただきました。

フロントとトーンのポットはオリジナルではないかもしれません。ただ、刻印など詳細に見ているわけではないので、その辺は言及できませんぬ。クロスワイヤは当時のものですね。ジャックは国産に変更されています。


ザグリの形状が若干違ってますが、試作品なので、手掘りの可能性が高し、とのことです。アースなどはほぼ変わらない感じですかね。


んで、楽器の顔ともいえるヘッド…からは、ちょいと長くなってしまったので、次回エントリにしましょうかね。もう少し楽器周りの写真を挙げて、最後に音的な感想を載せることにしたいと思います。

本当に歴史的な価値の高い逸品なので、貴重な経験をさせてもらいました。ちなみには委託品のようですが、販売価格は150万ほどだそうです。プロトタイプではありますが、驚くほど実践投入可能な完成度です。音もJBまんまではないけど、JBの質感はあるし、むしろJBにはない良さもある。その辺はまたおいおい。

いやー、正直、ほしい(笑)。